大判例

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東京高等裁判所 昭和32年(う)2643号 判決

被告人 池田与三郎

〔抄 録〕

次に、自救行為の主張について考察するに、原判決挙示の証拠によれば、原判示土地の所有権は、昭和三一年九月七日以降原判示五十嵐境に帰属するに至つたものであることが認め得られるところ、所論は、右土地の耕作権は、被告人がこれを有しており、本件行為当時においても、被告人が現実に該土地を占有していたものである旨を主張するのであるが、所論の挙げている証拠によつては、未だ、必ずしも被告人が右土地の耕作権を有していた事実を確認しがたいばかりでなく、仮りに、被告人が、右の土地のうち事実上畑の形態をしていた部分につき、昭和三一年当時、現実に耕作をしていたものとしても、昭和三二年度において、前示五十嵐境が該土地の新所有者として、公然と耕作を始め、原判示の各作物が植付けられ、相当程度に成長している以上、同人において任意にこれを除去しない限り、法律上の手続によつてこれが救済を求むべきであつて、かかる場合に被告人が原判示のような行為に出ることは、法律秩序維持の上から法の許さないところであるというべく、所論援用の判例は、本件に適切でないから、自救行為として違法性を阻却するとの主張もまたこれを採用することができない。

(中西 山田 鈴木良)

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